コラム
蓄電池で未来を拓く-カリフォルニアの再エネと防災事例に学ぶ-
近年、再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及と災害対策を両立するため、蓄電池市場の成長が急速に進んでいます。
特に世界的なカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)への転換が進む中、
エネルギー供給の安定化と気候変動に伴う災害対応の両方に対応する技術として、蓄電池が再評価されています。
2024年のG7エネルギー・気候会合では、2030年までにエネルギー貯蔵設備の導入を6倍にする目標が掲げられ、
蓄電池は持続可能な社会を構築するための重要な技術と見なされています。
特に、カリフォルニア州での先進的な蓄電池導入事例は、
今後の再エネ導入や災害対策におけるモデルケースとして、日本を含む他国にとっても重要な示唆を提供しています。
カリフォルニア州における蓄電池導入の背景
カリフォルニア州では、再エネ普及とともに、森林火災や災害による電力供給の不安定化が深刻な問題となっています。
2018年の「キャンプ・ファイヤ」をはじめとする大規模な山火事が相次ぎ、州全体で電力インフラの脆弱性が浮き彫りになりました。
カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)は、この問題に対応するため、既存の蓄電池補助金プログラムである
SGIP(Self Generation Incentive Program)に新しい特別予算を割り当て、
山火事のリスクが高い低所得層コミュニティへの蓄電池導入を促進することを決定しました。
SGIPは、もともと2001年に自家発電設備の導入支援を目的に設定され、再エネ導入を支える制度として利用されています。
このプログラムは、温室効果ガス排出の削減とグリッド(系統網)の安定化を目指し、
コージェネレーション(熱電併給)システムや風力発電、蓄電池、燃料電池などへの補助金を提供しています。
2019年までに蓄電池に割り当てられた総予算は約4億1600万ドルに達し、
その後も需要が拡大する中で、住宅用と非住宅用に分けた蓄電池補助制度の改定が進められてきました。
2020年には「公平回復力(Equity Resiliency)」プログラムを新設し、
火災のリスクが高い低所得地域を対象に、蓄電池導入費用の100%を賄う制度が始動しました。
この支援金額は、他の一般的な蓄電池補助金額の4倍にも及び、州の政策としても蓄電池導入を大幅に加速させる役割を担っています。
2024年現在、このプログラムは1Wh当たり1ドルの補助金を提供し、蓄電池導入を災害対策とエネルギー供給の両面で支える重要な施策となっています。
カリフォルニア州における蓄電池の効果と実績
カリフォルニア州では、このSGIPプログラムの活用により、蓄電池導入の成果が現れています。
特に、電力供給の途絶リスクを抱える地域や災害リスクの高いコミュニティにおいて、蓄電池の役割が再評価され、広く利用されています。
2020年までに導入された蓄電池の総容量は185MWを超え、支払われた補助金の総額は2億3100万ドルに達しました。
さらに、蓄電池システムの設置件数は約8500に上り、コミュニティ全体のエネルギー安定性に寄与しています。
また、申請段階での予約済み蓄電池も157MWに達し、今後のエネルギー需給の安定化に向けたさらなる備えが進んでいます。
特に、住宅用蓄電池は全導入数の90%を占める一方、非住宅用蓄電池は総出力の75%以上を占め、
商業施設や自治体などの重要インフラへの配備が進められています。
SGIPを活用したこれらの蓄電池は、災害時のエネルギー供給の信頼性を高めるとともに、再エネ普及を下支えする重要な役割を果たしています。
計画停電と「公安遮断(Public Safety Power Shutoff)」によるレジリエンス強化
2018年に発生したカリフォルニア州のキャンプ・ファイヤを受けて、州の電力会社であるPG&Eは、
火災リスクが高い地域で計画停電を実施する「公安遮断(Public Safety Power Shutoff)」を導入しました。
この制度により、火災発生のリスクが極めて高い状況下では、予防措置として電力供給が一時的に停止されることになりました。
しかし、計画停電は住民や事業者に多大な影響を与え、電力供給が不安定化することが地域経済にも打撃を与える要因となっています。
これを受け、CPUCは山火事リスク地域の住民が計画停電の影響を最小限に抑えられるように、
低所得層向けの蓄電池導入支援プログラムを設け、電力供給の安定性を高める取り組みを進めています。
蓄電池があれば、停電時にも一定の電力供給が可能であり、災害時の緊急対応力を備えたレジリエンス強化策として重要な役割を果たしています。
日本への適用可能性と地域社会へのインパクト
カリフォルニア州での蓄電池導入は、日本にとっても示唆に富む事例です。
特に、日本では九州地方で再エネ発電量が急増しており、発電量の急激な増加が送電網に負荷をかけ、再エネ出力制御が頻繁に行われています。
これにより、発電した電力を十分に活用できない問題が生じており、蓄電池を導入することでこの問題を解決する可能性が高まっています。
また、日本もカリフォルニア州と同様に災害リスクが高く、地震や台風など自然災害の頻発に備えたエネルギー供給体制の強化が急務となっています。
蓄電池を活用することで、災害時のエネルギー供給の信頼性を高めると同時に、地域コミュニティのレジリエンスを強化することができます。
自治体や政府がカリフォルニア州のSGIPのような補助金制度を設け、低所得者層や災害リスクの高い地域に対して蓄電池の導入を支援することで、
日本国内でのエネルギー供給の安定性と災害対応力を向上させることが期待されます。
グローバルな蓄電池市場の成長と技術革新
蓄電池市場の成長はカリフォルニア州にとどまらず、欧州やアジアを含む世界中で進んでいます。
特に、欧州では「グリーン・ディール」に基づき、再エネと蓄電池の導入が加速しています。
2024年から2030年までに、エネルギー貯蔵市場は年率20%以上の成長が予測されており、
コスト削減や技術革新に伴い、蓄電池の価格が低下する見通しです。
これにより、各国でのエネルギー貯蔵設備の導入がさらに進むと予想され、再エネの安定供給がより確実に行えるようになります。
まとめ:持続可能なエネルギー社会に向けて
カリフォルニア州の事例は、再エネと災害対応の両面で蓄電池がいかに効果的であるかを示す貴重なケーススタディです。
再エネの普及が進む日本や他国においても、カーボンニュートラルの実現に向けて蓄電池の導入促進は必須です。
災害対策と再エネ推進を両立させるために、政府や自治体、企業が一体となって蓄電池普及に向けた補助金制度を設けることが重要です。
エネルギー供給の信頼性と柔軟性を高めるために、蓄電池が果たす役割は今後ますます重要になるでしょう。
カリフォルニア州の先行事例を参考にしつつ、各国の状況に応じた蓄電池導入の支援策を展開することで、
持続可能なエネルギー社会への転換が一層加速することが期待されます。
今後、電力需要が増加し続ける中、安定した電力供給を実現するためには、
再生可能エネルギーだけではなく、蓄電技術の活用が鍵となります。
系統用蓄電池の導入は、電力需要のピーク時にエネルギーを効率的に供給し、停電リスクを回避するために重要です。
こうした蓄電技術は、電力供給の安定化と脱炭素社会の実現に向けた解決策として注目されており、
電力事業者や自治体にとっても有効な選択肢となるでしょう。
私たちは、最先端の蓄電池技術を提供し、日本の電力供給問題の解決に貢献します。
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