コラム
「事業承継税制」とは? メリット・デメリット
事業承継税制(法人版事業承継税制)はルールが細かく定められて煩雑に見えます。
しかし、大まかな構造を理解すれば、決して難解なものではありません。
また、多くの中小企業にとって、
事業承継の際に後継者が負う贈与税・相続税等の経済的負を
大きく軽減できるというメリットが大きいものです。
事業承継税制は、中小企業において
先代経営者から後継者への事業承継(自社株式の承継等)が行われた場合、
後継者にかかる贈与税・相続税を実質的に免除してもらえる制度です。
事業承継税制には、「一般措置」と、より有利な「特例措置」があります。
2024年3月31日までに特例承継計画を提出すれば「特例措置」の適用を受けられます。
「生前贈与」により自社株式等を受け継いだ場合、本来ならば後継者には贈与税が課税されます。
しかし、事業承継税制を利用すると、
引き継いだ事業を続ける限り、「納税猶予」を受けることができます。
後継者が「相続」により自社株式等を受け継いだ場合は、本来ならば相続税が課税されます。
しかし、事業承継税制を利用すると、「納税猶予」を受けられます。
【事業承継税制の最終的なメリット】
後継者への「自社株の集中」を容易にし、権限移譲をスムーズに行えることです。
※非上場会社では、経営者は、株式の大多数を握っていることが重要です。
【事業承継税制のデメリット】
事業承継税制を利用したあとで
M&A(株式譲渡等)・廃業を選択した場合、贈与税・相続税の納税猶予が取り消され、
納税しなければならなくなることがあります。
※ただし、経営難に陥って事業継続が困難になったなど、
やむを得ない事情がある場合には、救済措置として、税負担を軽減してもらうことができます。
事業承継税制(特例事業承継税制)は、
事業を承継する後継者の贈与税・相続税の負担を実質上免除するものです。
活用するには、2024年3月31日までに「特例事業承継計画」を都道府県に提出する必要があります。
細かいルールが定められていることから、
税理士等の専門家に依頼することは不可欠であり、相応の費用・手間がかかります。
しかし、その効果を考えれば、多くの中小企業にとって、活用を検討する価値が大きいといえます。
①業績が良く株価が高くなっている
②後継者の納税資金の不安がある
③親族以外の役員に株式を贈与したい
特に、上記の条件にあてはまる企業にとってはきわめてメリットが大きいと考えられます‼
特例措置を利用できる今のうちに、事業承継税制の活用の余地がないか、
税理士等の専門家の知見も仰ぎながら、検討してみることをおすすめします。