コラム
電力需要拡大時代の鍵を握る「系統用蓄電池」ー市場動向と投資戦略ー
目次:
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はじめに
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電力需要拡大の背景と課題
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国内蓄電池市場の成長要因と需要構造
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技術進化と蓄電池システムの価格推移
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蓄電池市場における収益性・リスクとシナリオ別IRR分析
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データセンター需要と系統接続のボトルネック
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分散型エネルギーインフラとしての系統用蓄電池の可能性
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政策支援と投資家が注目すべき指標
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共有型系統用蓄電池のメリットと普及可能性
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まとめ:今こそ、エネルギー投資の選択肢に蓄電池を
脱炭素社会実現に向け、再生可能エネルギーの導入が進む中、系統用蓄電池は電力インフラの安定と持続可能な社会の鍵を握る存在です。
電力需給の不安定化、火力発電の削減に伴う調整力の不足、こうした社会背景の中で、蓄電池市場の注目度は飛躍的に高まっています。
さらに、世界的にカーボンニュートラルへの移行が加速する中、蓄電池のような新たなエネルギーソリューションへの関心は日増しに高まっています。
今後、産業全体においてエネルギー利用のスマート化と分散化が進むことを考えると、系統用蓄電池の果たす役割はますます重要になります。
近年、電力需要の構造的変化が起きています。
EVの急速な普及やデータセンターの爆発的増加が主因となり、従来のピーク需要を超える電力量が求められています。
また、家庭用エネルギー機器の高度化や電化製品の多様化も背景となり、消費電力の総量が増加しています。
これに対し、供給側では老朽化した火力発電所の廃止や新設の停滞が問題となっており、結果的に需給のひっ迫リスクが高まっているのです。
これらを支える新たなインフラ整備が不可欠となっており、調整力と柔軟性を兼ね備えた蓄電池システムへの需要が急速に高まっています。
三菱総合研究所の調査によれば、日本国内の蓄電池導入量は2023年に1万MWhを超え、前年比で大きく増加しています。
家庭用が依然としてシェアを占めていますが、注目すべきは系統用蓄電池の割合の増加です。
特に送電網の安定化・需給調整・容量市場対応といった機能が評価されており、自治体・企業・電力会社による導入が加速しています。
今後は産業用や災害レジリエンス対策用途でもさらなる拡大が見込まれており、多用途化が市場成長を支える要素となります。
蓄電池はリチウムイオン技術の進化により、寿命・容量・安全性の全てにおいて改善が見られます。
新たに登場したリン酸鉄リチウム(LFP)や全固体電池の商用化も期待されており、
より高密度で耐久性のあるシステムの普及が進んでいます。
加えて、2024年度の平均価格は5.4万円/kWhまで下がり、導入のハードルが大きく下がりました。
政府による補助金制度もこれを後押ししており、規模の経済が効き始めた今、価格低下の恩恵は今後さらに広がるでしょう。
蓄電池事業の収益性は、運用モデルと市場価格によって大きく左右されます。
ベースシナリオでは建設費が5万円/kWh以下でIRRが0.4%、アップサイドシナリオでは3万円/kWhでIRR14%という高収益が期待されます。
一方、ダウンサイドでは赤字リスクも残っており、収益モデルの見極めが不可欠です。
収益構造の多様化(需給調整市場+容量市場+ピークカット)によって、単一市場依存リスクを軽減する戦略が推奨されます。
今後、国内外でのデータセンター増設が続くと、さらに数十万kW単位の電力が必要とされます。
しかし、現在の電力系統ではその需要を吸収できる余裕はありません。
現在、東北地方の北部では、複数の送電線がループ状に接続されており、
全体として、北から南方向に電力が流れている状況ですが、
その途中のどこかの送電線で空き容量がゼロとなってしまうと、その箇所がボトルネックとなってしまいます。
JEPXなど既存市場の混雑と送電インフラの整備遅延が接続の障壁となり、15年待ちのケースも報告されています。
これに対して分散電源としての蓄電池導入は、即時性と柔軟性の観点から最適解と評価されています。
系統用蓄電池は、従来の中央集中型のエネルギー供給構造から、分散型エネルギー社会への転換を支える基盤技術です。
需要地近くに蓄電所を設置することで、送電ロスを抑え、地域ごとの電力需要を最適に管理できます。
さらに、災害時の電力供給確保や、ピークカット・ピークシフトにも活用でき、
企業や自治体がエネルギーレジリエンスを高める手段として注目されています。
政府は2030年までに蓄電池導入目標を拡大し、再エネとの併用を推進。
補助金、税制優遇、需給調整市場の拡張など多方面からのサポートがあり、投資環境は整いつつあります。
投資家は導入コストの下落率、放電効率、サイクル寿命、AI制御の有無なども考慮すべき指標です。
従来の蓄電池導入には億単位の資金が必要でしたが、共有型モデルなら約1800万円からの参入が可能。
分割所有によって初期投資を抑えながら、収益分配とリスク軽減を両立できるスキームは中小企業にも最適です。
今後このモデルは、再エネ投資の新しいスタンダードとなる可能性を秘めています。
今こそ、エネルギー投資の選択肢に蓄電池を 蓄電池は今後の電力インフラを支えるキーテクノロジーです。
投資家にとっては「収益性×社会貢献」を両立できる稀有な投資機会であり、政府支援と市場ニーズの高まりを背景に、
今まさに最適なタイミングと言えるでしょう。
共有型モデルの活用によって、誰もが再エネインフラ投資に参加できる時代が到来しています。
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系統用蓄電池事業へ参入することは、現在時点の場合だと、資金力があり、
将来的な投資としてお金が使える企業に限られているようにみえるかもしれません。
導入コストの課題をクリアできるのは、弊社のシェアリングシステム「共有型 系統用蓄電池事業」導入で、
初期費用を抑え、より多くの企業が参入できるプランを採用可能にいたしました。
「系統用蓄電池」は、脱炭素実現のためには必要なシステムの1つであることは間違いなく、
収益性が見込めるビジネスとしても今後、需要拡大する事業と期待されています。
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