ESG機運の高まりや固定価格買取制度(FIT)などの促進策で急増した全国の太陽光発電設備。
実はその多くが一気に耐用年数を迎える2035年の「大量廃棄時代」にどう備えるかが大きな課題となっています。
再エネ施設の中でも特に設置しやすいとされる太陽光発電設備は、2012年のFIT開始により全国に広がり、
発電量に占める割合が2011年度の0.4%から8.3%(2021年度の速報値)に増加。
件数ベースでは、FIT以降新たに稼働した再エネ設備(計245万件)のうち、住宅用太陽光が約177万件、非住宅用は約68万件に上ります。
風力(1936件)やバイオマス(539件)の設備と比べると、けた違いの多さです。
一方、太陽光パネルの製品寿命は一般的に25~30年とされています。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の推計では太陽光パネルの排出量は2035~2037年ごろにピークを迎え、
年間約17~28万トン。最大で2020年の100倍近くに膨らみ、産業廃棄物の最終処分量の1.7~2.7%相当に達すると見込まれています。
太陽光パネルの処分方法としては、最終処分場での埋立処分、リサイクル、リユースの3種類がありますが、
仮に約77.5万トンが埋立処分されると最終処分量の6%に相当します。
また、太陽光パネルの廃棄の費用を積み立てしていない企業が多いため、廃棄コストを捻出できず、不法投棄が横行するリスクも。
余力があるうちに、早い段階で太陽光パネルのリサイクル事業を開始し、リサイクルを収益化できる仕組みを整えることが大切です。
太陽光パネルの大量廃棄という、まだ誰も経験したことのない未来は刻々と迫ってきています。
再エネ発電そのものの持続可能性を高めるため、残された時間が限られる中で国や自治体が民間事業者と目線を合わせ、実効性のある対策を打ち出せるかが注目されます。
